与野キリスト教会

第１９回「過ぎ越しの祭り(3)」

今回は前回に引き続いて、過ぎ越しの祭りの具体的な祝い方と新約的意義についてお伝えしたいと思います。

(3) 子羊のすねの骨

子羊のすねの骨は過ぎ越しの子羊を表します。イスラエルの民は、子羊を2本の串で十字架の形に刺し、丸ごと火で焼きほふりました。十字架につけられた神の子羊イエス様は、私達の身代わりに裁きの火をその身に負われ、私達を死から解放して下さいました。

(4) マロア（苦菜）

苦菜（セイヨウワサビ）を食し、エジプトでの苦役と束縛を思い起こします。に罪の苦さを思い起こし、決してエジプト（罪の生活）に戻ってはならないことをその味で覚えます。

(5) ハローセツ

刻んだリンゴ、ナッツ、レーズン、シナモン、ぶどうジュースで作ったペーストです。甘くておいしいです。その茶色っぽい色は、エジプトで作っていたレンガの粘土を思い起こさせます。マロアと一緒にマッツァーに挟んで食べますが、マロアの苦さとハローセツの甘さが、逆境（苦さ）の中でも主が共にいて下さること（甘さ）をその味で覚えます。

(6) カルパス(野菜)

パセリを塩水に浸して食べます。パセリは過ぎ越しの祭りの祝われる緑の草が芽吹く春を象徴しています。また、パセリのその形は、出エジプトの際に子羊の血がかもいに塗られる時に使われたヒソプを思い起こさせます。そして、塩水はイスラエルの民が渡った紅海の水（バプテスマをも象徴）とエジプトで流された民の涙を表します。私達の心のかもいにイエス様の血潮の贖いが刻まれたことによって、私たちは救われ、バプテスマを与えられ、苦難の涙から解放されたのです。

(7) 卵

卵が過ぎ越しの食卓に加わったのは、後のことです。AD70年の神殿崩壊に由来すると言われています。自由、全焼のいけにえ、生命と希望の象徴など、様々な説があります。カルパスのように、塩水に浸して食します。

３．過ぎ越しの祭りの座席

ユダヤでは男性は指導者・頭・教師・祭司の役割を果たします。祭りの日、家長である男性は、祭司用の白い帽子や、キッテル（白い服）、またはタリート（祈りのショール）を着用します。 この家長の右には、最年少者が座るという特権があります。そしてその最年少者は儀式の間に、「なぜ、マッツァを食べるの？なぜマロルを食べるの？なぜ二度浸すの？なぜもたれかかるの？」という4つの質問をします。そして皆の司会をしている者がこの質問に答えます。この習慣は申命記6:20〜24に由来します。

聖書に記されている最後の過ぎ越しの晩餐の時、イエス様の右にはヨハネが座っていますが、これは、彼が弟子達の中で一番年少者であったからです。 家長の左は主賓席で、家長が最も信頼している人が座る最も名誉ある席でした。イエス様は主賓席に、自分を裏切ると知っておられながらユダを座らせられ、最後まで彼を愛しとおされました。 また、家長の向かいの席は、僕の席（末座）でした。イエス様はここに本来主賓関に座っても良いようなペテロを座らせられました。指導者となる者は、最も人に仕える者となるべきことを諭すためでした。そして自ら、通例決して家長はしない客人の足を洗うという仕事をされ、自分の身をもって愛とへり下りの手本を示されたのです。