与野キリスト教会

第１８回「過ぎ越しの祭り(2) 」

今回から二回に渡って、前回ご紹介ご紹介した過ぎ越しの祭りの具体的な祝い方と新約的意義についてご紹介したいと思います。

１．祝いのロウソク

過ぎ越しの前夜には、その家の主婦が祝いのロウソクを灯し、祝福の祈りをします。このことは、マリヤという女性がイエス様という全ての人を照らす世の光をもたらしたことを思い起こさせます。

２．過ぎ越しの食物

(1) ぶどう酒の4つの杯

祭りの中でぶどう酒を水で割ったものを杯につぎ、4回に渡って飲みます。

第1の杯（聖めの杯）

食事が始まる時に飲み、過去の全ての汚れが洗い流され、聖別されることを表します。イエス様の血潮は私達の汚れを全て洗い聖めて下さったことを覚えます。

第2の杯（裁きの杯）

パロとエジプトに下った出エジプト記の十の災いの箇所が朗読される間に飲みます。災いの箇所が朗読される度に、杯に指を浸し、ぶどう酒を一滴だけ外に出します。十番目の災いの時、イスラエルの民は、かもいに塗られたいけにえの小羊の血によって解放されました。イエスはほふられた小羊として、裁きを身代わりに負い、私達を解放して下さいました。

第3の杯（購いの杯・祝福の杯）

食後に飲みます。神様はイスラエルの民を約束の地に戻し、購ってくださることを表します。神様は既に民の帰還を始めておられますし、終わりの日の実現は近づいています。

第4の杯（賛美の杯）

詩篇115篇〜118篇を賛美した後、最後の杯として飲みます。神様が罪のなわめから解放して下さったことを喜ぶ者の口には賛美が湧き上がります。イエス様が礎の石となられたことを覚え、主のなさった素晴らしい業を喜びます。過ぎ越しの最後の晩餐において、「この杯は、あなたがたのために流される契約の血による新しい契約です。（マルコ14：24）」とイエス様が宣言されたのはこの杯の時であったと言われています。イエス様と弟子達は最後の晩餐を終え、歌ってからゲッセマネの園に向かわれたと聖書に記されていますが、それはこの時の詩篇（ハレル）の後半の賛美のことです。

(2) マッツァー（種入れぬパン）

過ぎ越しの祭りに使われるパンは、パン種の入っていないマッツァーというパンが使われます。パン種は罪を象徴するので、取り除くのです。
　食事の間にマッツァーはたくさん出されますが、3枚のマッツァーは特別な儀式用のマッツァー（マツォット）として重ねて置かれます。一番上のマッツァーは天にいます創り主、一番下のマッツァーは地上にいる被造物なる人間、真ん中は仲保者なる祭司を象徴します。そしてこの仲保者を表す真ん中のマッツァーはアフィコーメンと呼ばれ、祝福して、それを裂き、白い布でくるみ、食後まで家の中に隠しておきます。食事が終わると、子供たちはアフィコーメンを探し、見つけ出します。そして、第3の杯と共に食します。
　このアフィコーメンはまさに、罪のない命のパンとして来て下さったイエス様の姿を象徴しています。イエス様は、神と人間の仲保者・祭司として来られ、裁きを身代わりに負われ、十字架につけられた後、布に包まれ、死後3日間墓の中に隠されていました。マッツァーには焦げ目がついていますが、それはイエスの血潮を、筋は打たれた傷を思い起こさせます。

このように過ぎ越しの祭りの中には、メシヤであるイエス様のはっきりとした予型（象徴）が秘められていたのです。