与野キリスト教会

徳川家康は戦国時代を終わらせ、幕府を築いた人ですが、生涯の中で大きな失敗もありました。彼は若かりし頃、ある戦で大敗してしまい命からがら逃げ出します。あまりの恐怖に泣きながら敗走し、馬上で失禁し、やっとの思いで自分の城に戻りました。彼はすぐさま家来に命じて、その時の自分の惨めな姿を絵に描かせました。それは生涯、自分がこの惨めな体験を忘れず、おごることがないように自分の原点を残しておかれたのです。

人はそれぞれ、原点というものを持っています。それはその人の人生が変わる節目であったり、大きな教訓を得た時であったりします。同じように、信仰者においても原点があります。それは、自分が困難な状況の中で神様にどのように助けられたことや、聖書の言葉によって大きな励ましを受けたということです。そのような信仰の原点がいつもその人の心の中にある時に、信仰生活は本当に喜びに満ちたものになります。しかし、それを忘れてしまうと、いつの間にかその人の心の中には感謝が少なくなってしまい、愚痴や不平不満が多くなり、その否定的なものによって、その人の心はエネルギーを失ってしまうわけです。私達も、感謝が少なくなる時に、喜びが少なくなる時に、自分自身の心を点検し、ダビデが詩篇の中で祈ったように、「我が魂よ、主をほめたたえよ、主のよくして下さったことを何一つ忘れるな。」と祈り続けていきたいものです。その祈りは皆さんの心に、忘れかけていた神様からの恵みを思い起こさせ、大きな感謝と喜びに心を満たして下さるからです。

先月の終わりと今月のはじめに二度ほど、私の信仰の原点である米沢興譲教会にお招きを受け、メッセージのご奉仕に行かせていただきました。懐かしい色々な方々とお会いし、昔の話をしながら、私がどのような状態で教会に導かれ、そしてそこでどのような神様からの祝福をいただき今日に至ったのかを、神様は非常に明確に思い出させて下さいました。その夜はあまりの興奮と喜びに眠ることすらできないほどでした。信仰の原点に立ち帰る時、喜びが心に満ち溢れてくるのです。

神様は一人一人に、信仰の原点を与えて下さっています。もう一度、思い起こさせていただき、喜びを持って歩みましょう。