あなたがたはわたしに対して悪をたくらんだが、神はそれを良きに変らせて、今日のように多くの民の命を救おうと計らわれました。 創世記５０：２０
今の日本は、震災の復興、原子力発電の放射能問題、電力等のエネルギー、長引く不況、政治の問題等、多くの解決しなければならない問題が山積みになっています。どの問題一つをとってみても、有効な解決手段が見出せず、人間の知恵の限界を感じます。
私達が生きている世界は、私達にとって良いことばかりではありません。何故、どうしてこんなことが、というような時に理不尽さを感じてしまう事が起こります。しかし、信仰者にとっては、見えている世界だけが、わかっている所だけがこの世の全てではありません。今も、被災地をどのように復興させようかと考え、行動している人達がいます。様々な問題を解決しようと苦闘している人達がいます。そのような意志は、私達には見えないかもしれませんが、確実に大きな拡がりを見せています。そして何よりも、そのような人々の善の意志を導き、失われたものを回復させ、悪を善に変えようとされる神の愛の意志と働きが私達の周りには満ち満ちています。この神の愛を、その働きを信じていく者には、どのような状況の中にあっても失望に終わることはないのです。
約１００年前、イギリスのウェスト・スタンリーのある村で恐ろしい事故が起こりました。 鉱山が崩れ、坑道の中で仕事をしていたたくさんの坑夫たちが生き埋めになりました。
当時、ダラムの主教だったハンドリー・マウルは、悲しみにくれる遺族を慰めるメッセージをしてほしいと頼まれました。
主教は坑道の入口に立って話しました。
「神がこのような恐ろしい災難をお許しになった理由はよくわかりません。しかし、私たちは神を信じ、すべてが益となることを信じています。」
彼は興味深いたとえ話をして説明を付け加えました。
「私の家に母が残してくれた古いしおりがありました。絹でできた艶やかな物でしたが、表と裏がまったく違います。 裏は糸の結び目や糸がからまっているだけです。刺繍が失敗して、収拾がつかなくなったように見えます。裏だけ見た人は、刺繍の基礎も知らない人が適当に針を指しただけだと思うかもしれません。しかし、表に返してみると、美しく刺繍された文字が現れます。『神は愛です』と。」
慰めのメッセージはさらに続きました。
「私たちは今、しおりの裏だけを見ています。しかし、いつの日か、表を見てすべての状況がわかる日が必ずやって来ることでしょう。」
神は、マイナスをプラスに、悪を善に変える唯一の力を持ったお方です。信仰を持って、神の働きに期待して歩ませていただきましょう。