割礼のあるなしは問題ではなく、ただ、新しく造られることこそ、重要なのである。 ガラテヤ6:15
未曾有の被害をもたらした東日本大震災から、１ヶ月余りが過ぎました。この大きな地震の後に、被災地を中心として人々の変化が表れています。それは、自分にとって本当に大切なものは何かを考えるということです。人生は無限ではありません。いつ何が起きるかは誰にもわかりません。だからこそ、自分にとって何が大切かを考えることは、全ての人に必要なことであると思います。
イエス様も、あれやこれやと思い煩うマルタという女性に対して、「本当に大切なものは多くはない。」とお語りになられました。私達は、実にたくさんのことを考え、それに心が捕らわれ、思い煩ってしまいます。しかし、自分に大切なものはこのことだと、しっかりと大切なものに集中していくならば、余計なものに振り回されない、確かな歩みをすることができるのではないでしょうか。
信仰者にとって、最も大切なこと、それは神に目を向けて歩むということです。そのために必要なことは悔い改めです。悔い改めとは、自分の行いを悔いて改めることではありません。それは神に目を向け直す方向転換です。いつの間にか神ではないものに目を向ける人間が、神に目をむき直すこと。それが悔い改めなのです。神に目を向けて歩み始める時、どのような状況の中にあっても、新しい力が、視点が、恵みが与えられるからです。
今回の震災で、福島の原発から一番近いところの教会では、津波後、直ちに避難命令が出され、教会には暫く戻れない状態になってしまいました。その教会の牧師は、教会員達の消息を知るために方々に連絡し、そして全ての教会の方々と連絡を取ることができたそうです。その時に牧師が聞いた言葉は、地震や津波で大変な被害を受けた方々、原発の問題で、いきなり全く知らない土地に避難生活を送らなければならなくなった方々、本当に大変な状況の中にあるにも関わらず、誰一人として、「神様を信じてきたのに何故このようなことが」と言うことが無いばかりか、口々に「守られて感謝です」「今までの自分の信仰の不十分さを悔い改めました」という信仰の言葉だったそうです。牧師は、あの地震と津波の中で教会員達がだれ一人欠けることなく守られたことは奇跡です。しかしそれ以上の奇跡は、皆がそのような中にあって、神への信仰を新たにし、感謝をしていることです。と語っておられました。神に目を向け、日々新しくされ続けること、それが信仰者の目指す歩みではないでしょうか。
信じる者の心が新しく変えられる奇跡を、神は私達に与えて下さいます。神に目を向け続ける歩みをさせていただきましょう。