与野キリスト教会

最後の晩餐の前にキリストが弟子達の足を洗った個所は有名な所です。いきなり、自分達の足を洗い始めたキリストの姿に弟子達は混乱したのでしょう。彼らはキリストにされるがままに、足を洗われていきました。しかし、ペテロの番になったとき、ペテロは「わたしの足を決して洗わないで下さい」と言いました。これは、ペテロが自分は弟子なのに、なぜ師のあなたが私の足を洗うのですかという当然の言葉であると共に、何も言わないで足を洗われていく他の弟子達と自分は違うのだという、自意識があったのかもしれません。その心の深い部分はわかりませんが、ペテロだけがキリストに足を洗われることを拒否しました。それに対してキリストは、「もしわたしがあなたの足を洗わないなら、あなたはわたしとなんの係わりもなくなる」とお語りになられたのです。ペテロはキリストと３年半の間共に生活し、どこに行く時も先頭をきってついていった自他共に認める一番弟子でした。あなたが最も尊敬する人は誰ですかとペテロに聞けば、「イエス様です」と即答したでしょう。ペテロはイエス様を人生の師、そして目標にする最も尊敬する人物でした。しかし、そのペテロでさえも、キリストが足を洗わなければ、何の関わりも無くなってしまうのです。

では、キリストが足を洗うということは何を指しているのでしょうか。当時、道路は舗装されておらず、革のサンダルか裸足で人々は移動しました。当然、足は土埃や泥で汚れてしまいます。それは、私達の心の状態を表しています。私達の心も、毎日の生活の中で、段々と汚れや傷がついてしまいます。そして何よりも罪という頑固な汚れが気が付くとびっしりとこびりついてしまいます。キリストは、私達の汚れを洗い清めるためにこの地上に来て下さいました。例えその人が、キリストをどんなに尊敬していても、熱心に聖書を読み、祈りの生活を深めたとしても、この罪の赦し、そして心の汚れを洗っていただかなかったら、その人とキリストは何の関わりも無いのです。人間とキリストの関係は、この罪の赦しに係っているのです。

イエスキリストは、今日も私達の前に手ぬぐいを取り、ひざまずいて語られています。「あなたの汚れを、あなたの罪を私に洗わせてくれないか」私達全ては罪人です。そして、私達の心はすぐに汚れてしまうような自己中心さを持っています。そのような自分から目を背けることなく、逃げることなく、「主よ私を洗って下さるのはあなただけです。お願いします」とお願いしていきましょう。イエスキリストはそのために地上に来られ、十字架に架かられたのですから。